死にたいのに生きてた

 

 

 

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遡る

そして

思い出す

 

 

 

 

いつから、どんな風に、何を、どれくらいされてきたのか

そして、何を感じ、何を諦め、何を求めていたのか

 

 

ひたすら掘り返す、

感情解放プログラム Re:Born  1回目。

 

 

 

 

 

子供の頃に

身内から体を触られ

年を追うごとにエスカレートし

私は成長過程で性を知るずっと前から

性を不道徳な形で知っていた。

 

夜は毎晩恐怖で

安心して眠りに就いたことなんてなかった。

 

真冬でも窓を開けて寝てた。

空気が止まると窒息して死にそうだったから。

空気が澱むと自分の汚い身体がもっと汚く感じたから。

 

真夏は羽毛ぶとんを頭からかぶって寝た。

自分を守るものが欲しかったから。

 

 

高校生のころには、家にいるのがイヤで

バイトが終わったらそのまま

バイト先の人と夜遊びに出かけていた。

家に帰れば、また逃げられない夜が始まる。

そう思うと玄関のドアを開けるのがイヤ過ぎて吐きそうだった。

 

 

短大時代はアルバイトをいっぱい入れて

朝から学校に行って、夕方から朝方まで働いて、

帰ってシャワーだけ浴びてそのまま学校に行った。

学校で倒れることもあった。

それでも学校は唯一安心できる居場所だった。

授業中寝ていて怒られたとしても、誰もわたしを傷つけない。

誰にも理解されなくったって、ここだけはわたしを傷つけない。

 

 

ときには帰ってきても家には入らず車で寝ることもあった。

苦痛と恐怖で部屋に入れなかったから。

バイトから帰って、朝まで車で寝て、そのまま学校へ行く。

 

 

なんでそんなに自分を酷使して傷つけるのか、

もっと楽な方法もあっただろうに。

倒れながら、逃げ続けて何を求めていたのか、

 

それは

たった一つ、

どこでもいいから、

居場所が欲しかった

それだけだ。

 

恐怖を感じなくてすむ居場所が欲しかった。

安心できる場所が欲しかった。

そんな簡単なことが、わたしには叶えられなかった。

 

家にいるくらいなら、

汚い部屋でも、好きでもない男の家でも、

どこでもよかった。

家よりはましだから。

 

 

結局居場所なんて見つからず、

その場しのぎの生活をして、

なんとか一人暮らしができるくらいに自立はできたけど、

だからと言って居場所が見つかるわけでもなく、

行き場のない汚れた感情を持ったまま、

そのまま社会人になった。

 

怒りと恐怖と罪悪感の中で

本当の自分がどんな人間なのかを知ることもなく、

精神が分裂したまま大人になった。

 

 

誰にも言えず、全部ひとりで抱えて大人になった。

 

 

 

だから、感情表現は苦手だった。

感情を出せば全てがバレてしまうから。

隠してることすべてがバレてしまって、

感情も全部出ちゃうかも知れないから。

自分も知らない何かが、

全部溢れでてしまうかもしれないから。

 

ピアノを弾いていても、歌を歌っていても、

友達としゃべっていても、

絶対に気を緩めることはなく、

頑なに感情は出さなかった。

 

塞いで、

どんどん壁を厚くして、

頑丈な蓋をして、

何重にも鍵をかけて、

封印した。

 

 

 

もし、このことが家族にばれたら、

もし、このことを親に相談したら、

私は厄介者扱いされて追い出されるんじゃないか、

家族の中で一番いらない存在になるんじゃないか、

家族が散り散りバラバラになるんじゃないか、

自分が悪いと責められるんじゃないか。

もっと孤独になるんじゃないか・・・。

 

 

そう思うと、誰にも言えなかった。

 

 

ひとりぼっちになったら、生きて行く場所がなくなってしまう。

学校にも行けなくなて、一人で新聞配達とか靴磨きとかして、

路上で寝ながら生活することになるかもしれない。

 

そう思ったら、

屋根があって、暖房があって、ご飯がある今の家の方が、

ずっとマシかもしれない。

 

働いて勉強もできなくなって、ボロボロで汚くなって

その日のご飯も食べれるか分からない状態よりも、

体を触られて恐怖を感じながら、

ご飯と屋根と暖房がある方が幸せなんだ。

 

 

そう思って、思い込んで、どんどん麻痺していった。

 

 

もう何も感じなくなっていた。

 

 

 

 

10代後半はとにかく危険を求めた。

死ぬのがまったく怖くなかったから。

いや、死にたかったから。

 

 

危ない人たちとつるんで、

いろんなことを教えてもらった。

そして、そこで出会う人たちは、

みんな何かしらの傷を持っているようだった。

 

 

当時付き合ってたヤンキーな彼氏とは

よくバイクをノーヘルでニケツして

大通りを信号無視しながら突っ走ってた。

警察に追われてカーチェイスしたこともあった。

 

 

でも正直それくらいのことでは

私の心臓は高鳴ることはなかった。

 

 

もっとスピードを

もっと追われたい

こんなもんじゃない

何か感じて 

何か反応して!

高揚感とか恐怖とか

 

生きてるって 感じて・・・

 

もっと! 

 

もっと!!

 

もっと!!!

 

 

 

彼の後ろで感じるスピードはとても気持ちよくて、

後ろにパトカーがいるのに、

サイレンの音も拡声器から聞こえる警告も

わたしには何も聞こえなかった。

 

自分の心臓が何か感じるのか、

それに集中していた。

 

 

もしかしたら何か反応するかもしれない

そんな期待で微笑んで、嬉しかった。

期待で胸が高鳴った。

 

 

 

できれば、

そのまま車と衝突して

空高く放り出されて

生きることを終わらせたい・・・

 

 

そしたら、

その瞬間に、死ぬ瞬間に

生きてることを実感できるかもしれない

生きてた・・・って。

最後に感じられるかもしれない。

 

 

そう思うと、望まずにはいられなかった

死にたいと心から願って、

死ねそうなその状況を楽しんで、

わたしは彼の後ろで風を感じながら警察に追われていた。

 

 

 

 

18歳の冬。

 

 

 

 

死にたくてたまらなかった

18歳の冬。

 

 

 

 

それでもわたしは死ねなかったし死ななかった。

 

 

 

 

 

わたしは

自分でも気づいていなかたけど、

 

ずっと、生を選んでいた。